日本経済新聞 2018年(今年)2月1日の朝刊の 「私のリーダー論」に SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長が取り挙げられていました。
そこで披露されていた若い頃のこんなエピソード。情景が頭に浮かんで、思わず、そうそう。と首を縦に何度も振ってしまいました。
桜田社長は35歳の時にフィリピンにあるアジア開発銀行の本部に出向したそうです。
そのとき学んだのはグローバルな環境では謙遜の美徳は無能な人と誤解されるので使っちゃいけないということ。
以下、記事から引用
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「アジア開発銀行は世界50カ国から約2000人、役人から学者、私のようなビジネスマンまで多種多様な人が集まる組織です」
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引用終わり
桜田社長は着任後の歓迎ランチでの自己紹介で
「海外勤務も国際機関も初めてです。右も左もわかりませんがよろしくお願いします」(原文ママ)
と日本式に謙虚に自己紹介をされたところ、反応がいまひとつ。
つづいてドイツ人の学者が
「私は皆さんにない経験と知識を持っているはずなので、組織にとって新たなプラスとなるように尽力したい」(原文ママ)
という自己紹介をされた。
それを聞いた桜田社長は、嫌な印象を持ったのに自分の時より大きな拍手が起きた。
えっ?と思いますよね。
なぜこんなことが起きたのでしょうか。
英語を共通語として使う場合、お互いの文化背景が違いますから 言ったことはその言葉のとおり解釈されます。
それはもし、
I’m a total novice in the global setting
グローバルな環境では右も左もわかりません(全くの初心者です)
という自己紹介をしたらそれを聞いた人が言葉通り受けとめて
「どうして日本はそんな人を送り込んで来たんだろう?」と訝しく思うだけです。
誰一人として「本当はそんなことないよ。謙遜して言っているだけ」などど忖度(笑)してはくれません。
私自身も似たような場面を何度も目にしました。
会社員生活の最後の2年7か月を25年ぶりに日本の組織で過ごしたときのこと。
中途入社の方が自己紹介をすると、もれなく判で押したように
「皆さんにご迷惑をおかけするかもしれませんが、宜しくお願いします」
と挨拶されていました。
私はドキッとしたのですが、だれも反応しない。紋切り型の社交辞令として当たり前のように聞き流していました。
ちなみに「皆さんにご迷惑をおかけするかもしれません」はもし直訳して英語で話したらこんな感じ。
I may bother you
または
I may annoy you です。
注:bother は手間をとらせる、面倒をかける annoy は不快な気分にさせること
日本語では「ご迷惑をおかけする」って自分を謙遜するときに使う決まり文句ですが、英語にするとドキッとします。
様々な文化的背景を持った人たちの中で共通語としての英語で自己紹介するときは、ウソはいけませんが事実は事実として話す。自慢話にはなりません。
自分の経歴、実績、専門分野など、言わない限り伝わりません。
それに第一印象は大切。
最初に出会っときに
「味方になってもらう、信用してもらう」ことを
“buy-in” を取る
と言います。
初対面の人たちとこれから協力し合って仕事をしようと言う時には大切な
プロセスの一つ。
自分がチームに貢献できる。ということをメンバーに伝えるために
自分の経歴、実績、専門分野を整理して どう話すか 予め準備して
話し慣れておくことをお勧めします。