2か月前では間に合わない: 海外赴任の英語の準備

「バスに乗れるのは準備ができている人だけ」
というたとえ話があります。

ホームページ経由でいただく英語のパーソナルトレーニングについての
ご質問の中には

年に2件くらい
「海外赴任が2か月後に決まりました。
何とかなりませんか?」

というかなり切羽詰まったものがあります。

会社から選ばれて海外に赴任するくらいの方ですから、
ほぼ例がなくTOEICの点数は900点を超えています。

職場でも周の人から
「あの人は英語ができる」
と一目置かれていることでしょう。

でも連絡をくださる理由は全てといっていいくらい

「テストで高得点は取れるけれど実務に
使えていない」

結論から申し上げますと
今まで英語で実務をしたことがない場合

2か月では時間が足りない。
仕事をしながらの場合、6ヶ月は欲しいです。

(その理由は追ってお話しします)

高得点なのに仕事をするのは辛いという方の
場合その原因で一番多いのは

リスニングが苦手ということ。

例えば;

電話会議に出ても他の出席者のやりとりが聞き取れない

>聞き取れないから質問に答えられない

>何も答えられないので多国のプロジェクトメンバーからスルーされるようになった

>発言を求められても困るので沈黙を守り
立たないようにしている

>だまってログインして、気づかれないようにしている

などなど。
メールを読んだだけで、ご本人の居たたまれないお気持ち伝わってきて

思わず何とかして差し上げたいという気持になります。

先ほどご紹介した電話会議のお悩みは一例ですが

正直なところ

「なんで2か月前まで放置していたのか?」と思います。

リスニングは文法力、語彙力が足りているという前提があってもトレーニングの効果が感じられるのに少し時間がかかります。

ほとんど聞き取れない
→ 電話会議で苦労しないレベルにする

のは2か月では足りないので
パーソナルトレーニングをお受けしたことはありません。

この方が2か月後に今のままでマネージャー職として海外に出たら
何が起きるでしょうか?

電話会議と違ってお互い面と向かって話すので口元を見ていればリスニングはやや楽なはずですが

それでも初めの3ヶ月くらいは何を言われているのか聞き返さないとわからない。

とてもじゃないけれど、現地のメンバーにこちらから質問して情報を引き出したり

仕事を割当てる、相談に乗る、仕事の進み具合を確かめ、必要なアドバイスをする

というマネージャーとして最低限の責任を果たすのがかなり辛そうです。

部下から見たらこんなマネージャーです。

>自分から話さないマネージャー

>こちらから質問すると腕組みをして天井を見つめて固まってしまうマネージャー

>自分ではよくできたと思える報告書を出したのに出来がどうだったかのフィードバックのないマネージャー

私が部下だったらこんなマネジャーとはできれば一緒に仕事をしたくない

でも、海外赴任を会社から命じられるレベルの方ですから(左遷でもない限り)優秀なはず。

きっと時間が経てば現地の英語に耳が慣れて周りとのコミュニケーションが取れるようになることでしょう。

ただし、
そうなるには基礎がしっかりできているという前提でやっぱり3ヶ月。

となると
「海外赴任が2か月後に決まりましたので
実務ができるレベルにしてください」

は仕事を休んで、朝から晩まで英語漬けにでもしない限りは厳しいです。

実際、私がいた職場には会社の費用負担で仕事も免除されて大手の英語学校の海外赴任直前の
特別集中コースを受講してから海外に行った人がいます。

でもそれは少数の例外。

理想を言えば

集中して基礎固めに3ヶ月

3ヶ月がんばると忘れていた文法を思い出し、
仕事に必要な英単語をイメージとともに
覚えることができる。

これなら行けるかもしれない。とある程度の自信と目途がついたところで
スキルを身に付けるために更に3ヶ月。

この3ヶ月という期間は「行動変容」といってご存知の方も多いことと思います。

何か始めた時にその効果が目に見えて表れ始める経過時間がおおよそ3ヶ月
と言われます。

さらに3ヶ月延長すれば合計で6ヶ月。

ここで言う「スキル」とはプレゼンや電話会議でのカットイン、
人前で意見を言う

などの実際に使うスキルのことです。

そんなこと言っても、人事発令は6か月も前から出ません。
という声が聞こえてきそうです。

確かにそうですね。私も人事の仕事を長年しましたのでよくわかります。

でもTOEICで900点越え。
周りの人にも「あの人は英語ができる」と思われていたら

大勢の中から海外要員に選ばれる可能性はTOEIC 600点の方より高いですよ。

絶対に海外赴任はお断り

といって断るような覚悟と事情がない限り、人事発令がでたとき

「ついに来た。新しい経験を積ませてもらおう」

と快く引き受けられる自分でいたいものです。

 

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投稿者プロフィール

河野 木綿子
河野 木綿子
河野木綿子(こうのゆうこ)
仕事の英語パーソナルトレーナー。管理職の英語のお悩みを出張個人レッスンで解決します。
トレーナーはいわゆる純ジャパ育ち。新卒で(株)西友に就職したものの、外資に転職しました。その後大手外資系企業で25年間、仕事の英語を駆使してグループ会社全体のシニアマネージャーへと上り詰めました。英語だけでなく仕事を回すための異文化コミュニケーションのコツもお伝えしています。
主な勤務先;
モルガンスタンレー、バクスター、ファイザー、シーメンス

主な著書;
『仕事の英語 いますぐ話すためのアクション123』すばる舎
『読むだけでTOEIC®テストのスコアが200点上がる本』あさ出版

メディア取材・掲載:プレジデントオンライン掲載記事 外国人上司の苦悩

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