英語が変われば仕事も変わる  製薬業界が得意です (月曜休)

外国人留学生の日本語を当てにせず英語を身に付けよう

この記事は「自分が英語できなくても職場ではアジア人が日本語を話してくれるから助かる」と思っている方のために書きました。2018年8月に公開した記事に加筆したものです。

 

台湾では英語が2019年から公用語化

話の出所と信憑性を調べてみようと思いながらネットで検索したところ
台湾行政院(内閣)の頼清徳院長(首相)という小さな記事と、台湾ビジネス系のコンサルタント会社数社がネット上に記事を投稿していました。

 

日本は東京オリンピックでも英語面でボランティアの英語力を当てにしています。

(それも1日1,000円の交通費だけで?)その間にお隣の台湾は2019年にも英語が公用語に仲間入り。

今でも台北の街でコンビニに入ると、学生のアルバイトらしい店員さんが流ちょうな日本語で話しかけてくれます。

日本語が上手ということは外国語学習に対して積極的な人が多いのかもしれません。

留学生が日本の就活でであう文化と言葉の壁

ジェトロは2018年6月に東京大学と東北大学で企業と日本への留学生を引き合わせるイベントを開きました。

企業と言っても日本に拠点のある外資系企業だけです。

 

何人かの外国人留学生へのインタビューでわかったことは、日本で就職したいけれど就活に必要な『適性検査やエントリーシート、複数回にわたる面接に挫折して』あきらめて帰国する人が少なくないそうです。

 

記事の中で外資系の幹部の方の

「入社時の日本語能力は不問。外国人留学生は学習意欲が非常に高く、すぐに日本語をマスターする」というコメントが。

正直、えっ?と思いました。

台湾の例を挙げるまでもなく、今や様々なテクノロジーの発達でビジネスも一般人のコミュニケーションも英語が共通言語化しているのに

この期に及んで留学生の日本語学習に期待をしているのでしょうか?

それも外資系企業の方からの発言です。

決してその方を非難しているわけではないです。

ただ、こんなに留学生の学習意欲頼みの他力本願だと、こりゃ危ない!と強い危機感を感じました。

 

日本の総人口の2%が今や外国人。

その数はさらに伸びている。一番多いのが中国の方だそうです。

私の家の近所でも今やアルバイトの学生さんはほとんど中国人とインド人。

みなマニュアル以外の接客日本語を上手に操りますよ。日本語学校もあちらこちらにあります。

だいぶ前からあった外資系企業の留学生採用

私は大手外資系企業で採用も長年担当していました。

採用業務で一番大変だったのは世界の中でもユニークな日本の新卒一斉採用のシステムでした。

外国人役員に説明しなければならないのです。

外国人にとっては今年の業績もわからないのに、なぜ2年後の新卒採用の人数の予算取りをするのか?

即戦力にならない新卒をどうして雇うのか?

こういったことについて説得するのはなかなか時間のかかることです。

 

更にニューヨーク出張の折には人事のトップの方に「日本独得の採用 Issue」として

新卒採用の仕組み

ネット上に会社のページを作る

それをしないと学生さんが集まらないという説明もしました。

採用活動は日本の新卒採用についての説明も含めて英語という共通言語を使った外国人役員への文化・慣習の伝導活動でした。

今、振り返るとその思いが強いです。

10年以上前にすでに外資系のリクルート会社と組んで、日本での留学生採用をしてたときは、応募者とのやり取りは主に日本語。面接は時に英語。

彼らの多くは母国語の他に英語、日本語を話せたのです。国費留学生の方もいました。

優秀な方ばかりです。

マルチリンガルな留学生の採用ができた理由は会社の管理職の職務要件のひとつが「英語で業務ができること」だったこと。

明文化していなくても公用語が英語だったのです。

入社したばかりでも自国語の他に英語と日本語の両方を自由に繰れれば元々優秀なので活躍の場がすぐに与えられます。

 

 

進む英語化:APACという略語の浸透が意味すること

外資系企業(または多国籍企業)が世界をいくつかの地域に分けてビジネスや資源の管理をする際に Asia-Pacific のことをAPACと呼びます。

APACという呼び方は2000年代に入ってから広く普及したようです。

というのもググっていたら2006年に Google Japan Blog が開設されたとき、Googleが従来の欧米中心からアジアパシフィックという新しいくくりをつくり、開発者たちと協力していきたいというメッセージが書かれているのを見つけました。

1990年代は日本にある大手外資系企業の地域分けは欧米が中心でした。

大きな会議を開くとするとアメリカやヨーロッパの本社でするのが普通。

ところが2000年代に入ってから俄然シンガポール、香港での会議が増え、2010年代に入るころから北京が会議主催地に加わるようになりました。

 

私のクライアントさんもレポート先(上司)がシンガポール、インド、オーストラリアの方が増えています。

APACの浸透が意味するもの。

それは英語がいよいよ共通語として定着するということです。

個人的な意見ですが、「外国人留学生の高い学習意欲」を頼りにしている場合ではありません。

 

英語でやりとりして、その場でこちらの意見を主張する、事情を説明する。

それも英語が第2言語であるAPACの皆さんが分かりやすい順番で整理して。

英語アレルギーや外国人が日本語を身に付けてくれるだろうと願う他力本願のマインドセットにはそろそろサヨナラをする時期かもしれません。


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