英語が変われば仕事も変わる  製薬業界が得意です (月曜休)

『専業主婦が大学院に行ったらダメですか?』に Why not?と思う。

Higher Education abroad

自分のキャリアの舵取りは自分でしたい

私自身は自分のキャリアは自分で舵取りをしたいと思って人生を送ってきました。もちろん条件が整わず行きたい方向に進めないこともありました。

理想としては仕事も勉強も子育てもいかようにも組み立てればいい。できることをできるようにすればいい。と思っています。

これは女性に限らず男性についても同様の考えです。仕事だけでなく社会人になってからの学びについても同じです。

“地方都市に住む4人の子供を持つ主婦が大学院に通っている話をTwitterに投稿したところ生き方を応援する声が寄せられる一方で

「夫が稼いだ金で主婦が大学院に行くのはおかしい」

「大学院は主婦のカルチャーセンターではない」

「主婦が若者のパイを奪っている」

といった批判的な声が寄せられた”

先日、witterで見つけた記事です。朝日新聞社が運営する withnewsというサイトの投稿です。

更にこの投稿についての解説の中で社会学の准教授が付けたコメント

「長い人生の中で、専業主婦という経験を次のステップへの助走期間として意識することに、(主婦である)本人たちも自覚的だと思います」にも違和感を覚えました。

自分の専門分野のレベルアップをしながらジョブ型雇用で働く

ここ数年メディアで「Job型雇用」という言葉が聞かれるようになりました。

耳にした人も多いと思います。責任範囲やスキルが明確に定義された雇用と定義されていますが個人的には「ようやく感」が強いです。

職務範囲や必要なスキルセットがはっきりしているので、同じ職種で同じ業界の中でグルグルと転職しながら職務レベルを上げていく人も外資系では珍しくありません。

自分の場合は新卒で入社した日系企業でたまたま配属された人材開発(いわゆる教育担当)の仕事を今日まで続けています。思ってもみなかったことを任されてそれがライフワークになるなんていうこともあるのです。

途中大手の製薬企業で人事部門のトップから

「将来人事部長になるなら給与や福利厚生の仕事も経験しろ」

と強く説得されたこともありますが私は断固として譲りませんでした。

今の仕事が好きで、前の会社を辞めて海外に行ってまで学んだ分野です。

単なるわがままと言うご意見もあるかと思いますがJob型的なキャリア開発を自ら貫いていました。

でも決して順風満帆で今日まで来たわけではありません。途中で「英語で仕事を出来るようにしておきたい」と英語を身に付けるためだけに英語学校の総務の仕事を3年間したことがあります。

その後、念願かなって大手外資系企業に転職することが出来ました。でも転職した矢先、大病が判明してしばらく正社員の職を離れたこともあります。

そのとき退路力的負担が少ない仕事で食べていこうと派遣社員として入ったアメリカ系医療機器メーカーの研究所で正社員となり3年後には社内公募で再び教育担当に復帰することが出来ました。

その時の上司が発した一言。「人事の仕事を極めたいなら心理学で海外留学だ」。この言葉は頭の片隅にずっと残っていました。

その上司はさまざまなことを私に任せてくれたうえ、社外での学びの機会も与えてくれた。

そしてごく最近、上司評価制度で社内の雰囲気が荒れたことを知った時「人事をやるなら体系的に学んで取組まなければ社員に申し訳ない」と強く思いました。それが30代末に海外留学に行った背景です。

帰国後の再就職には半年かかったけれど、粘って自分が付きたい職種に復帰することができた。更にその会社では人事からの英語プレゼンといえば私、というほど役員会への出番が増えました。

と、ここで先程の社会学の准教授の話に戻りますが、果たして病気での本業の中断も、

留学も助走期間なのでしょうか?いや、私は全くそう思いません。

病気で長期入院した際には医療現場の皆さんが昼夜を問わず患者のために尽くしているのを毎日身近で見ていました。もし社会復帰出来たら昔やっていた人材開発の仕事を医療関連の産業でしたい。という思いを強くしたのがこの時期です。

果たしてこの時期のことを「キャリアの助走期間」と呼べるでしょうか?むしろキャリアの醸成期だったと今振り返って思います。同じことが1年間の留学と帰国後半年の就職活動についても言えます。職歴にはならないけれど大いに悩み、考え、試行錯誤した貴重な時期でした。

実は私には新卒で日系企業に入社した時の同期の友人がいます。20代半ばから10年間、音信が途絶えましたが、再会した時は奇しくもお互い心理学の大学院進学を控えていました。

私は仕事の専門分野を極めるため。彼女は「専業主婦」として子育て中に直面した課題がきっかけで臨床心理士を目指すために。

彼女が専業主婦として子育てをしながら「心理学を勉強して臨床心理士になりたい」と

思っていた期間を、繰り返しになりますが私は助走期間とは思えません。志(こころざし)の熟成期間です。

社会人になったらもう勉強はしなくていいのか?

近ごろリカレントという言葉を目にするようになりました。社会人になった後も、必要なタイミングで教育機関や社会人向け講座に戻り、学び直すことを指します。 元々は、スウェーデンで提唱された言葉です。

参考にしようと社会人の学習についてのデータをネット上で探してみたところ、日本は、勤務先以外での学習や自己研鑽活動を「何もしない」がAPAC14の国・地域(主要都市)平均の約3.5倍だそうです。

※パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」のデータより(APAC=アジア太平洋地域)

私が留学した22年前、当時のイギリスではすでに珍しいことではなく、同じクラスの17人のうち、仕事をしながら学んでいる人は12人でした。おそらく海外に留学されたことがある方は同じような経験をされていると思います。

仕事の状況も、授業料の支払の原資もみなバラバラ。会社に出してもらっている人 London警察から派遣されてきている教育担当の人、おじいちゃんの遺産で払っている人。私は住宅ローンを払いながら貯金を取り崩していました。他の学部には日本人で旦那さんがプレ留学をゼントしてくれたという主婦の方もいました。

そんなことも思い出したのでTwitterの主婦大学院生に寄せられた批判についてもコメントします。

「夫が稼いだ金で主婦が大学院に行くのはおかしい」

「大学院は主婦のカルチャーセンターではない」

「主婦が若者のパイを奪っている」。

視野の狭い世間知らずのコメントだと思います。

大学院に行けば、特に海外だと学費の負担者は本人だけというのは少なく、親や配偶者、祖父母の遺産という人もいましたし、奨学金をもらいながらも苦学生と言う人ももちろんいます。私のフラットメイトにもコールセンターでバイトをしながら大学院で学び、給料日前はコインランドリー代がなくて20ペンスを借りに来たり、物干しハンガーが買えずに借りに来た子もいました。

お互い、そういった事情を知りながらも誰も他人の学費の出どころについて口をはさむ人にはいませんでした。一番大切なのは本人が大学院で学ぶに至った経緯、そして学び、人間としての成長とこれから何をするかでしょう。

Twitterの投稿者に向けられた批判は「専業主婦」「子育て中」はこうであるべきというステレオタイプの発想と、「こいつなら叩いてもやりかえされないだろう」というネット上によくある匿名での陰湿ないじめ、更に「大学院に行く経済的ゆとり」があることに対するやっかみもあるのではないかと思います。

私自身は若い時からの夢だった大学院での学びと臨床心理士の資格取得を4人の子供を育てながら続けている彼女のことを心の底からから応援したいと思います。


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