英国文化圏では屋内で傘を開いてはいけない

30年以上前のこと、神田神保町交差点にある岩波神保町ビルに勤めていました。

ちょうどそのころは私が日本企業を辞めてまで英語にどっぷりつかって短期間でバイリンガルになろうとしていた時期です。

岩波神保町ビルの7階と9階にイギリス系英語学校が入居していて、7階は授業用の教室と職員の作業部屋・控室、9階は日本人スタッフの事務所でした。

私の仕事は7階に常駐してGO(略称ジーオー=General Office) という日本で言うと総務にあたる部署でした。Etsukoさんという女子大生と二人でイギリスから派遣されてきた英語講師たちの、それこそ「何から何まで」の面倒を見ていました。

イギリス本国から2年間の契約で派遣されてくる講師たちの住まい用の物件を見つけて(Flat Huntingといいます)、契約を結び、来日したら入居させて一緒にお布団を含む日用品の買い出しに行く、といったことも仕事のひとつでした。

時には離婚手続きのお手伝いまでしたことも。

このEtsukoさんとは今でもお友達です。NYCにご夫婦で住んでいるので、彼女が日本に一時帰国するときは会いますし、ちょうど去年の今頃は私がNYCに遊びに行って彼女のアパートメントに泊めてもらっていました。

そのころ同じフロアにいる同僚の数は約50人。

主にイギリス人で、そのなかにアメリカ人、オーストラリア人、カナダ人が一人ずつ混ざっていました。

今でも忘れられないのはオーストラリア人はイタリア系の男性で、日本のゴマせんべいが大好きな男性のこと。

いつもゴマせんべいの袋を片手に持っていて、
「Yuko, would you like to have some?」
と自分の好物なのに気前よくくれたものです。

ちなみに私もうっすらとしょうゆ味でゴマがみっしりつまったゴマせんべい、今でも好きですよ。

そんな英語学校の事務所で私とEtsukoさんは、朝から晩までほぼイギリスに住んでいるかのように、イギリス人たちの中でイギリス文化に浸って仕事をしていました。

あるときのことです。

朝、雨が降っていたので傘をさして出勤したあと、自分のふだんの習慣通り共有スペースのラウンジに傘を広げて乾かすことにしました。

傘を広げて床においたところ、

ぎゃあああああ、Yuko, BAAAAAAD LUCK!!! (ゆうこ、縁起でもない!)

という悲鳴に近い声が周りからいくつも湧き上がりました。普段は静かな人たちだったのでこれにはびっくり。

これがきっかけで知ったのですが、イギリスで家の中で傘を広げるのはとても縁起が悪い。

それもデパートの傘売り場でさえ、傘を広げないで買うほど徹底していて傘のプリント模様をあまり確かめもせず、買うのだとか。

最近、このことを思い出してネットでいくつかの記事を調べたのですが
エジプト時代の神様に対して失礼だとか、室内でガス灯を使っていた時代に炎が傘に燃え移って火事になるからとか諸説あるようです。

また同じようなことをイギリス滞在中の方もウェブ上で書いていますので、これはもしかして旧イギリス連邦の文化圏の常識なのかもしれません。

どちらにしても、なんで?ってびっくりするくらい、傘を広げた時の同僚たちの反応はすざまじかったです。

この事件は1980年代の後半のことでした。それよりずっと後、2000年代に入ってからアメリカの大手製薬会社の人事部で仕事をしていた時のことです。

職場にイギリス人がいなかったので(笑)、雨の朝出勤後に安心して(笑)、ロッカーの上に傘を広げて干しました。たぶん私がこれを始めたのですが、あっという間にたくさんの傘がロッカーの上に林立し始めたのです。

すると総務部から「ロッカーの上に傘を広げるのは禁止」というお達しが。。。。

なんだ、またかい?と思って理由を聞いたら、ロッカーの上の天井にはスプリンクラー(だったかな?)が埋め込まれているので、傘を広げて置くと傘が触れて誤作動するかもいれないから。というのがお返事。

やっぱりここでも火事と関連がありました。

でもね、個人的には今でも隙あらば使い終わった傘は屋内で広げて干しますよ。

だって濡れたまま閉じておくとお気に入りの傘の折りたたんだところにお水の跡が縦線のシミになってしまうでしょ?

今日の写真は私の最近のお気に入り、鳥さんプリントの大判の傘です。この傘を1年前に買ってから雨の日が楽しくなりました!

 

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投稿者プロフィール

河野 木綿子
河野 木綿子
河野木綿子(こうのゆうこ)
仕事の英語パーソナルトレーナー。管理職の英語のお悩みを出張個人レッスンで解決します。
トレーナーはいわゆる純ジャパ育ち。新卒で(株)西友に就職したものの、外資に転職しました。その後大手外資系企業で25年間、仕事の英語を駆使してグループ会社全体のシニアマネージャーへと上り詰めました。英語だけでなく仕事を回すための異文化コミュニケーションのコツもお伝えしています。
主な勤務先;
モルガンスタンレー、バクスター、ファイザー、シーメンス

主な著書;
『仕事の英語 いますぐ話すためのアクション123』すばる舎
『読むだけでTOEIC®テストのスコアが200点上がる本』あさ出版

メディア取材・掲載:プレジデントオンライン掲載記事 外国人上司の苦悩

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