この記事は英語で仕事をする際に自分が「デキる上司」だということが自分の周囲の人に伝わる「部下のほめ方」について書きました。
英語で仕事をするとほめられる
英語のビジネスコミュニケーションの仕方をお伝えする仕事をしていて、心掛けていることがあります。
それはクライアントさんが上手くできたときに言葉とボディランゲージを使って具体的に褒めることです。
とくに今はオンラインでのやり取りをしていますので、パソコン上の限られたモニターの画面の中で、教える側もクライアントさんの進歩がとても嬉しいということが伝わえるように工夫しています。
「あれ?先週よりも単語どうしがスムーズにつながって英語の音になりましたね。すごいです。
(拍手パチパチパチ)
どれくらい練習したんですか?」
言葉とボディランゲージを使って具体的に大げさなくらいほめます。
だってネット上では空気を読めないから。
じわじわと伝わらないから。
私自身、英語が共通語の職場で仕事をしていたころ、何かにつけてほめられました。
上司からも同僚からも。
どんなことをほめられるかというと
その日着ている服
美容院に行ったあとの新しい髪型
新しい靴
カメオ(ほんとは偽物)
身体的な特徴について口にするのはセクハラに当たるので言いませんが、こんなふうにほめます。
I like your hair cut! 素敵な髪型!
I like your pattern! 素敵な模様(プリント)
そして仕事内容については報告書を出せば
Good job!はもちろんのこと、
Marvelous! はイギリス人上司のお気に入りのほめ言葉でした。
自分では別に素晴らしい出来ではないと思うのですが必ず一言ほめられてうれしかったのを覚えています。
イタリア系上司の赤面もののほめ方
30代前半にバイリンガルセクレタリーの仕事を4年半していたことがあります。
そのうち1年超、南イタリア系ベルギー人の上司がいました。ステレオタイプかもしれませんが、彼のほめ方は超・大げさでした。
“Kono-san, I can’t live without you!”
「Konoさん、あなたが居ないと私は生きていけない!」
なんだかネルソンが唄ったスタンダードナンバー ”Without you” の歌詞そのもの。慣れないうちは同僚の前で顔が赤くなるのが分かりました。
そういえばイギリス人ばかりの職場にいたとき、とっても賑やかな同僚のSteveは、ちょっとしたことを手伝ってあげただけで
“You’re my Angel!”
「君は僕の天使だ!」
“You’re my saviour!”
「君は僕の救世主だ!」
こんなことを言われて過ごしました。
それ以前は新卒で日本企業の人事部にいて、仕事はできて当たり前。締切りは守って当たり前。
叱られることは合っても、ほめらたことってなかったような気がします。
日本人上司は部下をほめるのが下手?
以前、英語でのコーチングを勉強していた時に現・京都芸術大学副学長の本間正人先生の著書
『英語deコーチング』2012年 日本経済新聞出版社
を熟読しました。この本は ”英語があまり得意でない日本人マネージャー” のために書かれたそうです。
そのなかで本間先生は
『日本人マネージャーに対する、現地の労働者、従業員の最大の不満はフィードバックがないこと』で
『書類を持ってきてもThank you で終わってしまう』
と指摘されています。フィードバックのなかにはもちろんほめることも含まれます。
私が新卒のころ経験したように国内でも日ごろから部下をほめる習慣がないのですから海外赴任中のマネージャーで、さらに英語に自信がなければなおさらのことです。
提出された書類を受け取った時点で、ひとこと
“Great! Thank you. I’ll talk to you later.”
くらいは言いたいものですね。
デキる上司は部下を紹介するときにほめる
自分自身が約30年間、会社員を経験して思い出すのは外国人上司が自分の部下を人前で紹介するときにとにかくほめることです。
本当はその部下について仕事のレベルがまだまだ、と思っていてもほめます。
外国からビジターが来て自分の部下を紹介するとき
”Kono-san is an expert of statistics. We cannot survive without her.”
「こうのさんは統計のエキスパートです。彼女なしではやっていけません」
というようにほめながら紹介します。
悲しいことですが日本人上司の中には自分の部下を人前でいじってその場の笑いを取ろうという人が居るのとは正反対です。
ここでいうExpertという言葉は本来は「専門家」という意味ですが、別に学位などなくても、他の人に比べて秀でているくらいの意味でも使います。
たとえ欠点がある部下であっても、いいところを引出して、チームの成果を上げるのが Good managementで「デキる上司」です。
さらにほめるとき、
✓ 具体的に
✓ どれくらい自分たちが助かっているか
をいれると完璧です。
たとえ心の中で感謝していても英語でのやり取りでは「メッセージを伝えるのは話し手の責任」ですから相手の想像に任せるのではなく、話し手であるこちらが相手に分かるように具体的に伝える・ほめることが大切なのは言うまでもありません。
まとめ
自分が新卒新入社員だったころほとんどほめられたことがありませんでした。
その後、外資系の英語の職場に転職した後は当たり前の仕事をしたときも、身に付けているものも常に一言ほめてもらえる。
そんな職場で仕事をするのはやり甲斐を感じましたし、当時ご一緒していた「デキる上司」たちは、例外なく大げさなくらいに部下をほめていました。
いくつものほめ言葉をバリエーションを使って。
おそらく日本語であれば楽々言えると思いますが、英語の場合は口に出して言う練習をしておくことをお勧めします。
河野木綿子のホームページはこちらから