英語が変われば仕事も変わる  製薬業界が得意です (月曜休)

英文メールの返事をもらうコツは整理されていて短いこと

この記事は在宅ワークになって部下との対話、グローバルとの調整、自分だけの仕事と、時間管理に苦労している管理職のワークロードを軽減するために書きました。

外資では職制が上がると仕事もメールも増える

私もかつてそうでした。

採用と人材化初の責任者を県にしていた当時、国内、海外からのメールが入り乱れて受信トレーに入ってくる。

それはもう、

     ザク、ザク、ザク、ザク

と音が聞こえそうなくらい、画面の上部から新しいメールが入って来て

画面が目の前でどんどんスクロールダウンしていく。


あるとき数えてみたら午前11時の時点で120通です。
全てが私宛の To ではありませんが、CCであってもある程度は流し読みで知っておいたほうが良いことが大部分。

部下の方が何かトラブったときに対処するためでもあります。

でもそこで数えるのを止めました。数え続けてもストレスになるだけです。
全部を初めから最後までは読めっこありません。

今から30年以上も前になりますが、新卒で日本企業で仕事をしていたころ
部長と言えば午前中はのんびり新聞を読んでいて

終業時間になると誰かを誘って交際費を使いに行く。

そんなイメージがありました。偉くなると自分が直接する仕事が減って、上がってきた書類の承認のためにハンコを押すくらいに見えていました。

ところが30代でキレッキレの外資系金融業界に入ったら日本企業とは全く逆。

部門のトップとセカンドクラスは超長時間労働が当たり前。

休暇中でもセクレタリーを通じて部下から決裁を頼まれます。

私が40代で仕事をした外資系製薬会社では人事のGlobal Topは一日3時間しか寝ないという評判の方でした。

世界中から殺到しているはずの膨大な英文メール、どうしているのでしょうか?

もちろんパーソナルアシスタントの方がいて、スクリーニングをされているかもしれません。

その中には超Confidential な内容で本人しか読めないものもあるでしょう。

短時間でメールをさばく上司の秘密

私が40代後半になって採用、人材開発、M&Aの組織開発など複数の仕事を担当するようになったころ、上司はこちらがMerge(統合)した組織から来た方でした。

自分が部下として一緒に仕事をしていて仕事への取組みに置いて今でも最も尊敬している方の一人です。

と、いうとバリバリのビジネスパーソンを想像されるかもしれませんが、全くそういう印象ではない(ご存知の方いらしたら、この記事のことは内緒ですよ)。

小柄な方でいつも飄々としていて声も小さく、口数も少ない。

でもその少ない口数で話す内容が常に核心をついていて、はっとすることが多かったです。

小柄なのに存在感があって、Kick-off ミーティングで彼が壇上に上がると広い会場が一瞬でシーンと静まり返るような方でした。

そしてやっぱり彼の仕事の量は凄まじいものがありました。だからデスクトップパソコンに張り付いている時間は長いはず。

その上司は私の向かい側に座っています。

ところが。

短時間しかパソコンの前に座っていない。そしてそそくさと煙草を吸いに行ってしまう。

なんでだろう????

しばらく彼が返信するメールを英語・日本語に関わらず観察することにしたのです。彼宛てのメールの多くに私が写し(CC)で入っていますので。

そしてすぐにわかったのは彼の配信メールのタイトルにはよく、こんなのが混ざってる。

日本語だったら

【要件のみ】3月1日集合時間 10:00承知しました

英語だと

【Title Only】Pls send your approval by 11th

 本文は書いてない。

こんな感じにとっても手抜き(いや、効率的)です。

もちろん、こういったやり取りをした事で人によって解釈がばらばらになり混乱が起きそうなときは使いませんが。

この

【要件のみ】や

【Title Only】を使うことで

 書くのも簡単だしメールを受け取った人は、クリックしてメールを開かなくてもこちらの意思表示を受け取れるというわけです。

偉い人に出すメールは短いほうが歓迎される

さて、今まで返信するときの時短について書いてきました。
ここから先は、そのメールを受信して読む側のことについて短いメールを書くことをお勧めする話です。

実は企業の、少なくとも大手外資系のトップクラスの方は長いメールを全部読むことはありません。

日本人は丁寧で礼儀正しくありたいという傾向が強く、外資系で仕事をしている人でもなるべくたくさんの情報をメールに盛り込む傾向があります。

でも偉い人はメインメッセージに絞って読みたいのです。限られた時間で正確に情報を読み取って決断しなければなりませんから。

そういう案件が毎日山のように押し寄せますから。

私がよく耳にしたのは「〇〇さんはメールの初めの3行しか読まない」
秘書の方から聞きました。

でも今振り返ると私自身もたくさんの仕事を引き受けるようになると最初の3行くらいを読んだ後は、すっ飛ばして(!)

その後に続く説明も、各段落の初めの1,2行くらいをスキミング(上澄みを掬い取る)するだけでした。


あるとき私の管理職3ヶ月コースのクライアントさんから「社長に出す報告メールを書いたので見て欲しい」とご相談をいただきました。

その方はヨーロッパを拠点にしている世界最大手の消費財メーカーの事業部長でした。


社長への月例報告のメールに時間が掛かって重荷だし、努力しているのに反応がない。というお悩みでした。

その方の原案を見たところ丁寧な説明が3段落にわたって続き、最後に「いついつまでに判断をしていただきたい」と締めくくっていました。


それに対して私がアドバイスしたのは以下の情報だけでいいですよ。ということ。

① 今月の概要は〇〇です。順調に回っています(私が社長に伝えたい結論)

②、③、④に(①)を裏付ける理由、データ、実例

最初のメインメッセージと3つの補足説明。


この通りに書き直して社長にメールを出したところ。。。

「3分で初めて返事が来ました!それもコメントが
 ”Excellent report!” でした!」

たったひと言の返信だったそうですが、シンプルで的を得たメールは社長の目を惹き、あっという間に要点を把握して、即返信してくれたという実話です。


そのクライアントさんの感想でこのエピソードを締めくくります。

「今まで経営トップに出すメールには必要な情報を全部いれないと失礼だし、
 間違いにつながると思ってとても長く書いていました。

 時間もかかるし、それなのに反応をもらったことがありませんでした。

 でも今回の整理した短いメールで Excellent report! という反応が即
 もらえたのはとても勉強になりました」

シンプルに整理されていない長いメールを書くと間違いなく「面倒な人」と思われますよ。


そしてネイティブの方が全員、シンプルで的を得たメールを書いているかというと、そうでもありません。

やはり「何をどういう順番で伝えるか」が練られていることは読んでもらうメールを書くための外せない要素です。


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